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デーブ・ペルツ 

(Dave Pelz : Dave Pelz Scoring Game School)

科学者としてNASAで働く。プロ入り後は、特にショートゲームに関して研究し、多くのツアープロが彼にアプローチやパッティングを習っている。ショートゲームに関しては、世界的に有名。

デーブ・ペルツは長年にわたって、ゴルフのボール、道具、プレーヤーの体の動きなどを研究し、いろいろな実験をしてきた。その結果、ゴルフの65パーセントのショットが、100ヤード以内で行われていることを発見、ショートゲーム(バンカーショット、パッティングを含む)を専門に教えている。

彼はアプローチショット(フィネスショットと呼ぶ)のボディーターンを理解することが必要と説く。フルショットでは、パワーを生む為に肩と腰の回転差(体のコイル)がいる。しかしショートゲームでは、パワーはいらないので、肩と腰が一体となる回転運動(アプローチのボディーターン)が必要だという。

アベレージゴルファーに多い、手先主体のアプローチショットより、ボディーターンスイングのほうが、プレッシャーのかかった時の安定度が増すためだ。

またボールポジションも重要という。フィネスショットでは、クラブヘッドでクリーンにボールを捕らえることが大前提。したがって、ボールの位置は、必ずスイングの最下点よりも内側、右足の踵の前に置く必要がある。

パッティングで重要なのは、目標の真下にボールを置くことと、肩の真下にグリップがくる構えを作る点だ。これでパーゲットラインに対して、真っ直ぐのストロークが可能になる。

 

インタビューでの着眼点:

1.        科学的な実験やデータ収集によって説得力を増すことが出来る。(抽象的な理論よりも受け入れられやすい)

2.        ショートゲームに特化したゴルフレッスン領域を構築した。(ニッチな市場の想像)

3.        トッププレーヤーをターゲットにした高価格戦略をとり、成功を収める。(ターゲットセグメントの成功事例)

4.        特許や肖像権等の知的所有権戦略をとる。(書籍、ビデオ、練習器具やトレーニング道具等の販売戦略)

5.        ゴルフ界におけるブランド戦略を実施。(全米を中心にデーブ・ペルツショーとゲームアカデミーを展開)

ボブ・トスキ

(Bob Toski : Toski-Battersby Golf Learning Center)

ゴルフ殿堂入りをした最初のプロ。40年以上にわたりゴルフのティーチングプロとして活躍した。特に日本でのゴルフレッスンにおける役割は大きく、先駆者的存在である。

彼は、レッスンの時、ゴルファーに対して3つのAを確認するという。すなわち1.Ability(能力)2.Ambition (意欲)3.Attitude(態度)。レッスンは、往々にしてこちらからの一方通行で終わるケースがあるのだが、常に相手の反応を見定めた上で、相互にやり取りが必要となってくる。まずゴルファーの目的を見間違えると、いくら良いレッスンをしていても、独りよがりになってしまうのだ。例えば、差し迫った試合に対処する方法を聞きに来ているゴルファーに対して必要なのは、スイング面でのレッスンではなく、メンタル面のサポートであることは、言うまでもない。また、同じゴルファーについても、その成長段階で、助言の手法や方法が変わってくる。能力にかけ離れた課題を与えることは、ゴルファーのやる気を阻害することとなるからだ。

 

インタビューでの着眼点:

1.        こちらが熱くなれば、相手も熱く返してくれる。(まず自分が熱心に、直向にゴルファーに接する)

2.        学べば学ぶほど自分の無知に気が付く。(謙虚な姿勢)

3.        転身することの難しさを実践。(ツアーからレッスンへの転身)

4.        ハンズオンレッスンの大切さ。(ゴルファーに手を添えて体感させてあげる)

5.        トリックショットを見せる。(驚きと楽しさの演出)

 

ブッチ・ハーモン

(Butch Harmon : Butch Harmon Golf School)

ネバダ州ラスベガスのリオセコGCにて「ブッチ・ハーモンゴルフスクール」を開講。主な生徒にタイガー・ウッズ、グレッグ・ノーマン、テービス・ラブVなど。

ブッチ・ハーモンは、とにかく人を楽しませることを心掛ける。特に最初のレッスンでは、ゴルファーは緊張することが多い。日本人の場合は特にそうであろう。私が受け持った日本人ティーチングプロを対象とした講習会においても、彼が最初に行ったのは「アイスブレーク」であった。日本語では耳慣れない言葉であるが、ようするに雰囲気を和ませることである。そのための小道具まで用意していたのだ。ちょっと下品な写真だが、巨大な一物がついている子供の全裸の写真を取り出し、局部を指で隠して、自分の子供の頃の写真だと言う。思わず覗き込んだ時に隠していた指を動かして、驚かすという、茶目っ気一杯のことをするのだ。このことからわかる様に、とても気さくで笑顔の耐えないどこにでもいるようなおじさんと言ったところ。しかし、いったんゴルフスイングを分析させるとその表情は一変して、真剣そのもの。またその分析力、着眼点には恐れ入る。

 

インタビューでの着眼点:

1.        ティーチングプロとして自身を持ってゴルファーに接すること。(これは、世界のトッププロを指導して、自分の教え方に不安に陥ることがあるのだが、自分自身を疑い始めたら、相手に対して説得力のあるレッスンが出来なくなるからだ。)

2.        とにかくゴルファーとの人間関係を大切にする。(伝えることも信頼関係があればこそ。)

3.        苦手のクラブを克服させる。(得意なクラブばかりを練習するゴルファーが多い。弱点の強化が大切。)

4.        クラブヘッドが動く方向に体重を移動させる。(体重移動が出来ていないゴルファーが多い。)

5.        スイングのリズムとテンポを大切にしよう。(トップオブスイングで日取り肩が回りきる前にスイングを切り返すゴルファーが多い。)

ジョー・ティール

Joe Thiel : International Golf Academy

1971年からティーチングプロとしての活躍を開始、パク・セリ、バル・スキナー、サリー・リトル、湯原信光、鬼沢信子ら過去200人以上のプロを教える。一方で自ら米国ワシントン州に3つのゴルフコースを所有し、アマチュアにもレッスンしていた。90年にトゥルジットゴルフクールを開講、93年に15年間教えた日本人へのティーチングをまとめた「インストラクティング ザ ジャパニーズ ゴルフスチューデント」をUSPGAに発表し、同協会発足以来117番目のマスタープロフェッショナルとなる。USPGAのプロ、インストラクターを対象にした各種セミナーの講師を務めながら、校長であるインターナショナルゴルフアカデミーの授業もこなす。現在は同州オリンピア市在住。

 

インタビューでの着眼点:

1.        日本人は研究熱心だが、マイナス思考すぎる。(プラス発想で楽天的に考える必要性)

2.        練習の為の練習ではなく、ラウンドで役立つ練習が重要。(実際に使えなければ意味がない)

3.        「バンドエイドレッスン」では上達は望めない。(矯正指導から育成指導へ)

4.        ゴルフスイング偏重のスクールから脱皮が必要。(ゴルファーのトータルケアーが必要)

5.        レッスンの場が練習場からゴルフコースへ。(プレースタイルまでもケアーする)

ジャック・カーケンダル

(Jack Karkendal : Natural Golf School)

大学で物理学を専攻。会社員からプロに転向。1996年にアメリカゴルフマガジン社のベスト100ティーチングプロに選ばれる。ハンマー打法は、最近ツアープロにも注目されている。

ナチュラルゴルフスイングとは、ゴルフをプレーする為に科学的に立証された、よりシンプルで体にやさしい、アメリカの新しいゴルフ理論である。その理論は、物理学者のジャック・カーケンダルによって提唱され、世界一のボールストライカーのマー・ノーマンによって具現化された。1994年の12月にアメリカニューオリンズで開催された、PGAティーチング&コーチングサミットにおいて、モー・ノーマンが世界一のボールストライカーとした紹介され、講演が行われ、広くこの理論が認められた。

今までの伝統的なゴルフスイングであれば、右手のグリップをフィンガーで握るために、スイング中に2つの軸(右腕とシャフト)と4つのてこ(シャフト、手、前腕、上腕)が生じる。つまり、プレーヤーは、スイング中は、それぞれの横回転と縦回転の複雑な動きをマッチングさせ、背骨までも伸ばすようにして、スイング面を調整するように行われなくてはならない。限られた人でしか毎回このような複雑な動きを正確に繰り返すことが出来ない。

しかし、ナチュラルゴルフスイングでは、ハンマーを握るように、右手の平で握ることを基本としている。こうすれば、右腕とシャフトは一体化し、一つのスイング円周上を回転することになり、フィンガーグリップに固有の複雑な動きを省くことが出来る。

また、ナチュラルゴルフスイングは、人間の体の自然な動きによるスイングが出来る為、腰や肘、肩などの故障が少ないというメリットもある。

 

インタビューでの着眼点:

1.        今までの固定概念に縛られずに、斬新な発想で物事をみる大切さ。(最初から色眼鏡で見ない)

2.        生きたモデルを示すことで説得力を高める。(世界一のボールストライカーのモー・ノーマンの存在)

3.        クラブ販売をゴルフスクールと一緒にマーケティングした。(既存のゴルフメーカーと差別化展開)

4.        ハンマーという日常の道具と動作をゴルフに適用。(アイデアとイメージ戦略の確立)

5.        逆転の発想。(回転のゴルフスイングから右手中心のゴルフスイングへ)

モー・ノーマン

Moe Norman

世界一のボールストライカーとして、有名。リー・トレビノは、ベン・ホーガンやバイロン・ネルソンを含めても、世界一のボールストライカーは、モー・ノーマンであると断言する。ケン・ベンチュリーは、彼をパイプラインモーと呼んだ。

 1969年にカナダのトロント郊外で行われたエキジビションで、モー・ノーマンはサム・スニードと共にラウンドした。240ヤード先に川が横切っているパー4のホールで、サム・スニードは川の前で刻んだのに対して、モー・ノーマンはドライバーを握って打とうとしていた。サム・スニードがここは刻みのホールだとモー・ノーマンに言うと、彼は川の真ん中にある橋を狙っていると言ってティーショットを打った。ドライバーから放たれたボールは、狙い通りに橋を渡って向こう岸に転がって行った。そんな逸話が多い。

 少年時代に交通事故に合い、それがきっかけで自閉症になる。結果的に一人で出来るゴルフに没頭する。ホールインワンが18回、43回のコースレートを樹立し、内59のストロークが三回。62歳のときに59のストロークで、世界最年少のエッジシュートとなる。

 インタビューでの着眼点:

1.        純粋に物事に打ち込めば、大成する。(一つのことに専念することの大切さ)

2.        自閉症からの克服は、自分の得意分野を作ること。(クラブを握れば自分の舞台という感覚)

3.        自分のスタイルを大切にする。(他人の言葉に惑わされずに、自分の信念を貫く)

4.        自信が確信となり回りを説得できる。(大勢は、パイオニアに従う)

5.        視覚に訴えることの大切さ。(言葉よりもデモンストレーション)

 

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