挑戦する精神が大切
脇坂 忠雄(茨木国際CC 研修生 S40・7・28生)
今回アメリカに行くにあたって、日本では出来なかった事に何でも挑戦する意気込みと今までの自分を変えてみたい思いがありました。 日本でゴルフをしていると暗くなったりしませんか? 私は将来のことや人間関係や練習環境など、考える度に暗くなっていました。 そして近い将来、お金をためて1〜2年ミニツアーに挑戦しようと思っていたところ、大東さんよりお誘い頂き参加することにしました。
なんと内容の濃い一ヵ月間だったんだろう、というのが今の感想です。 初めてのアメリカで出発まで何かと不安でしたが、大東さんや御一緒された皆様のおかげで貴重な経験と思いでを胸に無事帰国出来ました。 心より感謝しております。 そしてこの体験談が今後ミニツアーに挑戦される方々に少しでも参考になれば幸いです。 出発前に去年と一昨年のミニツアーレポートを読ませていただき、かなりアメリカのイメージが出来上がっていましたが、試合の段取りがわからず不安でしたので、まずは私のデビュー戦から書いてみたいと思います。
私は日本でこのようなトーナメントに出たことはなく、まわりはアメリカ人ばかりでいきなりパニックに陥った。 ティーグランドでトーナメント関係者とおもわれるおじさんに、「日本から来ました。 あまり英語が話せませんが一ヵ月間よろしくお願いします。」とペコペコ頭を下げていると、「私はギャラリーだ。」といわれた。 この後、本物の競技委員がピンシートを渡しながらローカルルールを英語で説明してくれた。(さっぱりわからん) 後で聞いたことなのだが、このコースのバンカーは全てウェストバンカーでソールができるとか、雨上がりでフェアウエーのボールは拭くことが出来ると言っていたらしい。 ティーグラウンドで自分の名前を呼ばれ「おォ〜」と感動していると「ナイステゥーミーチュー」と言って眉毛の濃い大男が握手してきた。 「I'm、、、、」聞き取れなかった。 困った。 外人の名前はカタカナでしか記憶できない。 お互いの使用球の確認。 ほとんどのプレーヤーは、マジックで誤球防止にマークを入れている。 すると「グシャ!」と今まで聞いたことのないような音を発てて大男がティーショットをした。 凄い。 これがアメリカか。 この人去年までPGAツアーのプレーヤーだったらしい。 打つ前から100ヤード置いていかれたと思った。 誰が誰だかわからないまま始まった。「俺は誰のマーカーだ?」とりあえずスコアーカードに「金髪、眉毛、ノッポ」と書いて皆のスコアーをつける。 今度から名前と特徴をメモしよう。 3人とも190cmはある大男で飛距離ではかなわない。 小技もうまい。 マナーもいいし、アドレスに入ったら物音を立てない。 特にそれには気を使う。 ディボットやバンカーはきれいに直す。 そのへんのプロ意識は凄い。 しかしミスをした時の彼等の怒りかたは半端じゃない。 でもすぐにケロッとする。 最初は多重人格者かと面食った。 必死の思いで4人のスコアーを付け18ホールを終える。 提出する時に気付いたがスコアーカードにマーカーの名前が書いたシールが貼ってあった。 私のマーカーは金髪だった。 スコアーを見せてくれと言って、そのまま書き写しサインをしてくれた。 なんだ。 まぁ、とりあえず世界的に有名なワールドウッズCCでデビュー戦ができ、幸せに思った。
2日目になるとスコアー順でジェイソン(こうゆう名前は覚えやすい)という、ちんちくりんの一人とインド人(牛を見てお祈りをしていたのでそう思った)とハーフで切れて帰ったちょび髭と私の4人。 お土産を渡して「I only speak a little English」と言えば親切にしてくれた。 ミニツアーは色々な人に門戸を開いているなと実感する。 初日の経験でカートを運転すると自分のペースで回れると思いハンドルの前に座る。 隣にジェイソンが座り、こいつがまたひどい野郎でミスショットのたびにクラブをぶん投げ(それも手加減せずに投げるからかなり飛ぶ)それをスタコラ走って拾いに行き、私がカートで迎えに行ってやらねばならず、あっという間に前の組と2〜3ホール開けられた。 競技委員が英語で何かを言ってきたので(急げと言ったのだと思う)ジェイソンのほうを見ると、膝まずいてざんげをしていた。 おかしな野郎だ。 でも彼のおかげでこの後の試合は随分リラックスできた。 2日目がサスペンンドだったので3日目に34ホールを一気にまわる。 ドライバーを杖がわりにヨレヨレになってクラブハウスにたどりついた。 夕日が沈みかけていた。 疲れた。
最初はパワーの違いや才能の無さに自信を失いましたが、帰る頃には考え方が変わりました。 それは私より良いスコアーで まわる片足のプレーヤーがいたからです。 またダウンタウンの路上には片腕のギターリストがいました。 彼等にとってそれはハンデではなく個性なんだという気迫を感じました。 オフの日に行ったケネディー宇宙センターでは、何度失敗しても月に行けるまで挑戦したビデオを見ました。 たまたま当日半旗が揚げられていましたが、命懸けで挑戦する宇宙飛行士とそれをサポートする技術者の情熱に熱いものを感じました。
残念ながら大東さんが参加されるミニツアーはこれが最後と聞いています。 なにかの節に大東さんが、『そんな繊細なアメリカ人、おるかいな。』と言われてました。 今回私がアメリカで一番学べたことは、細かいことを気にせず挑戦する精神だと思います。 今後このような企画があるのかわかりませんが、もしミニツアーに参加しようと迷っているのなら、思いきって行ってみることをお勧めします。 少しの英語と自炊が出来ればアメリカでやっていけると思いました。 1カ月間の滞在でしたが、アメリカは挑戦するものにチャンスを与えてくれる国だと思いました。 もう一度挑戦します。