スイング動画2011年3月18日  球磨CC 日本一のエージシュター植杉幹蔵氏

2010年10月9日 球磨カントリー倶楽部 植杉乾蔵さん676回目のエージシュート達成!

植杉乾蔵さん「676回目のエージシュート」!

 

来年のゴルフ学会全国大会が「エージシュートを目指して」というテーマで、近畿支部の主管で開催されます。 そこで、日本のエージシュート記録更新中の植杉乾蔵さんに会いに熊本まで行って来ました。 ゴルフ学会近畿支部理事の中神勝先生が植杉さんのお知り合いとのことで、伊藤章近畿支部会長に同行させて頂きました。

鹿児島空港に降りたちゲートをでたら植杉ご夫妻が迎えに来られていました。

熊本県人吉市は、熊本空港からよりも鹿児島空港の方が近いとのことです。

それでも小一時間を自ら運転して迎えに来て頂いたのには、大変恐縮致しました。

植杉乾蔵さんは1923年(大正12年)121日生まれの86歳です。

今までにエージシュートを675回達成されています(平成2210月8日現在)。

ピンと伸びた背筋から、とても86歳には見えないです。

エージシュート(Age Shoot)とは、ゴルフの1ラウンド(18ホール)ストロークプレイで、自分の年齢以下の打数で廻ることです。 公認されるのは6000ヤード以上のゴルフコースとされています。

自分の年齢よりも少ないスコアでラウンドするエージシュートは、全てのゴルファーの永遠の夢でもあります。

健康で長生きをする。 その上ゴルフプレーをエンジョイする。 さらには、スコアーにこだわる。 

日本でエージシュートを達成したゴルファーは少なくないですが、その数が100回を超えるゴルファーは、数人しか存在していないでしょう。

その中でも、植杉さんの回数は群を抜いており(ちなみに次に多い方が200回程度)、その記録は前人未到とも言えます。

その偉業は、ゴルフダイジェストやチョイスなどのゴルフ雑誌をはじめ、いろいろなメディアに数多く取り上げられてきました。

植杉さんの675回のエージシュートがどれほど素晴らしい記録かということを、球磨カントリー倶楽部、企画営業部長の高橋健二氏は以下のように言っておられます。

「ゴルフを知られないお年寄りに植杉さんの偉業を説明する時、野球の川上哲治さんやイチローさんに匹敵すると紹介させていただいております」

野球には現役引退がありますが、ゴルフは生涯現役という素晴らしいスポーツであります。

いくつになっても、老若男女が同じフィールドで競い会うことの出来る唯一のスポーツなのです。 しかも団体競技ではなく、全てが自己責任の個人競技でもあります。

すでに雑誌や新聞で取り上げられているように、植杉さんの偉業には、奥様の役割が欠かせない存在であります。 長年看護業務に携われていた奥様が、3食の徹底管理はもちろんの事、健康の細部にわたるまでご主人に「指導」されてこられました。

50歳までは、48キロあまり(165センチ)で虚弱体質であった植杉氏を、十年がかりで58キロのベスト体重まで持ってこられました。 

食が細く一度に多くを食べられない植杉氏に、一日6色のメニューで栄養管理をされたそうです。 

朝食は食パンに国産のみかん蜂蜜をたっぷりとつけます。

納豆、ヨーグルト(バナナ、イチゴ、干しぶどう、プルーン入り)、野菜ジュースに加えて欠かせないのが牛乳です。 お二人で毎日牛乳1パック(1リットル)を消費されるとのことです。 

現在まで約30年間、ベスト体重の58キロを維持されています。

奥様との二人三脚の基本は、「生活習慣」を大切にすることだそうです。

それは特別のトレーニングをするのではなく、日常の生活に取り入れることを中心に行います。 

食事を取るときの姿勢一つにしても、背筋を伸ばして行います。 背中が曲がり気味になると、間髪いれずに注意をされるとのことです。

「テーブルからこぶし一つ空けて座ります。 顔を食べ物に近づけて行くのではなく、食器を口に持ってきます」

これは、看護士として多くの患者さんに指導してこられた奥様だからこそのアドバイスでしょう。

平成15年に骨折された時も、奥様独自の介護が実って復活されたそうです。

雨の日にゴルフ場で滑って転び、右足くびを骨折されました。

80歳を間際にしてのギブス生活を余儀なくされ、ゴルフプレーから遮断されることは大変つらい状況でありました。 当然ふさぎがちになり、寝たきりになりがちなご主人でありました。 そこで奥様は、食事は1階の食卓で取ることを義務付けされたのです。

しかも2階の寝室から1階までは、あえて介添えすることなくご自身で移動するように仕向けられました。 最初は這うようにして階段を登り降りされたそうです。 これが上半身の強化に繋がると同時に適度なリハビリになったとのことです。

また奥様は、ご主人にベットの横に尿瓶を置くことを薦めています。

これは、就寝中に尿意をもよおした時に、便所に行かなくても良い「移動トイレ」として使えます。

利点としては、

1.            事故の防止

2.            寝付けないことからの解放

3.            脳出血、脳梗塞の防止

4.            尿の量と色での健康管理

上記の利点から高齢者の男性にとっては、移動トイレは欠かせないそうです。

そして、尿の処分と容器の洗浄はご主人自身自らなされるとのことです。

冬の寒いトイレや浴室では、事故が少なくなくありません。

蓋の付いた尿瓶であれば、就寝中何回でも使えて、起床時には処分すれば良いわけです。

奥様もゴルフの腕前は、ハンデ14で相当なものです。

病院にお勤めの時からゴルフサークル内で楽しまれていました。

ご主人の一番の理解者で、ご一緒にプレーすることも一番多いのも奥様です。

いままで、ご主人エージシュートを400回ぐらいは同伴プレーされているとのことです。

植杉乾蔵さんのプレースタイルは、「たんたん」としたものです。

「スコアにこだわりません。

 『下手な鉄砲も数打ちゃ当たる』です。

 別に凄いことをしているとは思いません。」と、至って平常心そのものであります。

植杉さんは、若い時からゴルフ三昧の生活では、ありませんでした。

「55歳までは、普通のサラリーマンしていました。

お付き合いでゴルフをすることはありましたが、月に2度ほどです。

それから自分で事業を起こして、ゴルフのお付き合いが増えました。

その時からは、ゴルフのお誘いを受ければ、断らないことにしています」

との言葉どおり、シングル入りは60歳を過ぎてからでした。

そして71歳の時に初めてのエージシュートを達成されました。

「現役時代は、仕事が先ず一番だったのです。

引退してから、ゴルフが仕事です(笑)」

いわゆる遅咲きのゴルファーであります。

エージシュートを夢見る全てのゴルファーの星である植杉氏。

現役時代は仕事一途で、引退後ゴルフ一途であったのも興味深いことです。

すなわち、60歳からでも健康に留意して精進することで可能と言うことを具現化されているのです。

植杉さんは、熊本県人吉市の球磨カントリー倶楽部をホームコースにされています。

プレーをご一緒してまず感じたのは、「静かな」そして「機敏」なプレーであります。

当日は、小生達と同じ白ティーからプレーされました。

「月に一度の競技会では、フルバックからもプレーしています。

ティーグラウンドは、皆様と一緒のところからプレーします。」とこだわりがありません。

1番ホールはなだらかな打ちおろしの391ヤード。

テークバックをゆっくり取られてコンパクトなトップオブスイングから大変シャープなスイングをされました。 ボールは見事にフェアウエーセンターの赤旗(230ヤードのIPポイント)めがけて飛んで行きます。

インパクトでは、「ヘッド・ビハイン・ザボール」の形を見事に取られていました。

トップ同様にフォロースルーもコンパクトな形で、インパクト周辺を重要視されている感じが見受けられます。

「プロアマで一緒に回った時のプロから『大きなフォローをとりましょう!』とのアドバイスを貰いました。 でも、歳もとってきて身体も柔らかくないので無理やり大きなフォローは取れませんので、諦めました。」とコメントされていました。

この「ゆったりリズム」と「コンパクトなスイング」は高齢者ゴルファーにとって、参考になる点ではないでしょうか。

ティーショットをフェアウエーセンターに放たれ、颯爽と歩かれる姿は、到底86歳に見えないです。

登りの激しいホールや、長いホール間のインターバル以外は、基本的には芝生の上を歩かれます。 ゴルフに行くことがトレーニングと考えておられます。

これは奥様が言っておられた日常生活に取り入れられる習慣付けに繋がるところでもあるようです。

1番セカンドは、惜しくもグリーンのバンカーに入ってしまいました。

しかし見事なまでに、ショットの出来に一喜一憂されることはありません。

淡々とバンカーショットをされるのです。 しかも、そのスイングはスムーズそのもの。

深めのあごでありながら軽々と1ピンに付けられました。 

もちろん自分自身でバンカーレーキを使いバンカー内を綺麗にされます。

本当に全てのゴルファーにとってお手本のような存在であります。

石川遼プロと同じパターをクロスハンドに構えてスムーズなストローク。

3メートル弱のパットを決められ、「ナイスパー」発進です。

「パターは入らないものと考えています。

 色々な傾斜があり、芝目もあります。

しかも、グリーン上は綺麗な面ではありません。

入ること自体が、たまたまでまぐれなのです。」

この考え方があるからこそ、大記録が達成されてきたのでしょう。

2番は170ヤードのパー3ホールです。

5番アイアンか7番ウッドで迷われた末に、7番ウッドで打たれました。

ボールはピン一直線にナイスショットです。

ショットが良すぎて、10メートルオーバーでしたが、ナイスオンでした。

ちなみに植杉さんは、5番アイアンまでバックに入れられています。

これは、ある程度のヘッドスピードがあるからでしょう。

「一番良い練習は、素振りだと思います。

 クラブを逆に持って素早く行います。

 そして重いクラブを使ってゆっくりとスイングします。

 シャフトの中に砂を入れて素振り専用のクラブを作成しました。

 1分間かけてゆっくりした素振りを行います。

 素早いスイングと交互に行うことで効果を高めます」

小生が提唱している、逆クラブスイングとスローモーションスイングを実践されているのには、大変驚いた次第です。

植杉さんの2番での10メートルは、下りスライスの微妙なタッチを要求されるラインでした。 滑らかなストロークから転がりの良いボールが糸を引くように放たれ、そのボールがカップに吸い込まれて行きました。 

カップインした瞬間に興奮した小生とは裏腹に、植杉さんは、いたって平静そのものでした。 

「今のは、まぐれです。 たまたま入りました。」と謙虚な姿勢であります。

ラウンド中にもいろいろお聞きしましたが、こだわりのない考え方が特徴でした。

「特別なことをしているとは思いません。

数多くプレーしているだけです。 

エージシュートは、70歳後半からは誰でも可能だと思います。」とすべてのゴルファーに希望を与えるコメントをしておられます。

出だしの2ホールは順調でしたが、前日からの雨が降り続き、植杉さんにとっても苦しいラウンドとなりました。 ランがほとんど出ないのうえに白ティーからのラウンドは、86歳の植杉さんにとって距離のハンデがあったようです。

OBを含むダブルボギーが3つあり、前半のハーフが44のスコアとなりました。

後半の出だしで、連続ダブルボギー、パーの後、連続ボギーがあり、6オーバーとなりました。 残り4ホールを全てパーとしなければ、エージシュートは達成されません。

しかしプレーぶりは、淡々としたもの。 こちらもあえてスコアのことには触れずにプレーを続けました。 残り4ホールから植杉さんのショットが明らか良くなって来ました。

崖っぷち状態になってから、連続でパーを重ねられ、最終ホールでも1メートルほどのパーパットを残しました。 固唾を呑んで見守る中を、最後のパーパットを決めて、86ストローク、676回目のエージシュートを達成されました。 

「エージシュート、おめでとうございます!」と小生が握手を求めても、すこしうれしそうな笑顔以外、淡々とされた姿は変わりませんでした。

 

今までの全ての記録は、奥様がパソコンで管理をされておられます。 ここ数年は毎年百回以上のエージシュートを達成されています。

このままのペースであれば、あと3年ほどで前人未到の1000回達成がなされることになります。

 

ゴルフスイングに関して植杉さんは、

1.            ただ振るだけ

2.            バックスイングをどうこう考えない

3.            強振しない

4.            インパクトでは、「ヘッド・ビハインザ・ボール」を心掛ける

だ、そうです。

何時でも、ノータッチ、OKなしで最後までカップインされます。

 自然にまかせて、あるがままの状態でプレーをされている植杉さんのプレーに改めて敬服の念を覚えました。 

 

最後にエージシュートを目指されるゴルファーへのアドバイスをお聞きしました。

「規則正しい生活をすれば、70歳を過ぎれば誰でも可能性があります」

ゴルフを生活習慣の一部にすれば良いとのことでした。

「特別なトレーニングをする必要もないです。

あえて言えば、相撲の四股踏みが良いのではないでしょうか」とのご意見でした。

何でも秘策があるわけではないのでしょうが、何か拍子抜けの答えに聞こえるかもしれません。 

植杉さんを見ていると、「たんたん」と日々続けることの大切さを感じました。

それは、「継続は力」で言い尽くされるのかもしれません。

 

日本ゴルフ学界 近畿支部理事

日本ゴルフジャーナリスト協会副会長

全日本ゴルフ練習場連盟 指導競技委員長

日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロ

 

大東将啓

ohigashi@apricot.ocn.ne.jp

 

ご意見ご感想を上記のメールアドレスにお願い申し上げます。

   

大東様

先日、東大阪の金城弘和君から植杉さんの記事を紹介して頂きました。

何よりも凄いのは86歳でゴルフが出来ると言う事です。

もちろんエイジシュートなんて私には到底夢の世界と思っておりましたが今からでも遅くないと励みになりました。

実は私はまだ71歳の若造です。50歳の時にはHD6までいきましたが昨年まで4年間ゴルフを止めていました。

今年の2月に又はじめましたが85100の間であまり燃える物がありませんでした。

70才で目標の一つが終わったのでもう一度シングルへ挑戦しようと秘かに準備をしておりますがなまっていた身体はそう簡単に戻ってきません。

しかしこの記事のお陰でゴルフにやる気が出てきました。有難う御座います

練習場連盟の恒藤理事長さんとも何回かお目に掛かった事も御座いますが景気の悪い中、練習場同士がもっと情報公開してやらなければと感じております。

住之江の金橋さんとお会いした時、いたかのゴルフともう一軒何処だった忘れましたが3社で対抗試合をやっている話を聞きました。

東大阪もそれに加わりたいと願っております。

大東社長は大変アイデアマンだと聞いております。練習場連盟が活性化するため一肌お脱ぎ頂きたく存じます。

初めてのメールで大変長々となりましたがお許し下さい。日本に居ればすぐにでもお目に掛かりたいのですが

実は今海外からメールをしております。

東大阪ゴルフセンター 顧問 池内嘉正

私のホームページは下記に御座いますのでお暇な折に覗いてください。失礼します。

池内嘉正

http://www.tetujin60.com 

ケータイサイトURL

http://nt-s.ne.jp/ht1/ikeuchi

 

スイング動画その2