第46回:ミスは恐れず、ミスすることを認めるのだ(後編)

週は、先週のトム・ワトソンのパッティングの不調についての私の考察と分析の続きである。

 以前のワトソンはどこからでも寄せワンができた。ショットがどこにいつても、関係なかった。パットを決められることを確信していたからだ。

 しかし、今の彼は、ショットはいいが、パットを打つこと、そして外すことを恐れているようだ。
 彼へのアドバイスとしていえるのは、自分のパッティングを考えるときは、上手だと自分に言い聞かせることである。最終日に優勝争いをしている気持ちになることだ。今まで優勝したときのビデオテープをもう一度、特にパットを決めていたシーンを見るのだ。そして同時に、パットを外していたことも認めるのだ。今までも、すべてのパットを決めていたのではなく外していたこともあったのだと。今とは外したときの反応が違っていた。彼は外したことに大してとらわれなかった。

 また、私はこのようにも助言するだろう。
 「トム。優勝がかかつた最終日の1.5メートルのパットに臨むときはボールの後ろに立ち、そのボールがカップインするのをイメージするのです。そして、そのイメージが頭に明確に描かれるまで、アドレスしないことです」

 「昔の素晴らしかつたルーチンを思い起こしてごらん。アドレスして、ターゲットを2度確認して、パットをしていたね。今でも、ショットのときはそのルーチンが保たれていますが、パッティングに関しては、心配や恐れが表れて時間をとりすぎています。もう一度、基本に戻り、決意を新たに、明確なイメージを持って臨むのです」


 グレートプレーヤーには、自分自身がグレートプレーヤーだと思つていなければ、なることはできない。名選手であつても考え方が崩れてしまえば、もうその実力をキープすることはできないのだ。グレートに考えることなしに、グレートにプレーすることはできない。トムがよい例だ。ゴルフゲームの最も重要な部分を崩してしまったのだ。

 ドライバーがだめでも、トーナメントで優勝できる。ニクラスは、ドライバーをまっすぐに打つことができないときでも、多くのトーナメントを勝ってきた。3番ウッドや1番アイアンが代わりをできるからである。しかしウェッジや、パターの代わりはない。そして、このウェッジやパターのよいプレーのためには、よいマインド(心)が必要だ。必ずカップインすると明確にイメージできる強い意志が。