第19回:プレー中のナーバスは普通でない素晴らしい状態

れまで2回にわたって、プレッシャー克服のためには、第一に意識をターゲットに集中すること、第二にナーバスになる状態を認めることが大切なことと話した。今週は少しそれらの補足をしたいと思う。

 まず最初の、意識をターゲットに集中するということだが、これは何も1番ホールのティショットから、18番ホールの最終パットまで、ピリピリと神経を張りつめていなさいといっているのではない。集中力とは高めるべきときに高め、そうでないときはそれに備えてリラックスさせておくことが大切なのである。あるプレーヤーは、歩いているときに深いゆっくりとした呼吸をとったり、あるプレーヤーは、ショットからショットの間は、何も考えないで、木々を観察したり、キャディと話などをする。

 私がプレーヤーに対していっているのは、打つ前にコンセントレーション(集中力)を高めるのが大切であり、4時間のラウンド中いつも意識を高めておく必要はない、ということである。そしてもう一つは、プレッシャ-の下でナーバス(神経質)になる状態を認めることについて。

 ナーバスになる状態と闘おうとすると、それに打ちのめされることになる。「これはだれにでもあることだ」と、ナーバスな状態を受け止め、ターゲットに集中することが大切。というのは先週お話しした。もう一つ付け加えるならば、プレーヤ-は毎週末にはナーバスになってもらいたいのである。すなわち、土曜日、日曜日はナーバスになる位置でトーナメントに臨んでもらいたいのだ。

 われわれ(訳者注:博士とその生徒のプロ。このぺージの読者を含めてもいいだろう)の目標は優勝することであり、それは同時にナーバスになることでもあるのだ。日曜日に朝の7時のスタートでナーバスにならずにプレーするのが目標ではない。優勝のチャンスがあるナーバス――これをわれわれはエキサイトメント(興奮)と呼んでいる――の状態になることを願っているのだ。このエキサイトメントになるべく、プレッシャーを愛し、エンジョイ(楽しむ)する必要がある。

 ナーバスになるのがイヤなら、トーナメントに参加しなければよい。ナーバスとはアンユージュアル(普通でない)フィーリングであるが、アブノーマル(異常)ではない。アンユージュアリーワンダフル(普通ではなく素晴らしい)状態なのだ。