第18回:プレッシャーの克服は、それを認めることから始まる

週は、プレッシャー克服にはその状態を、あえて自分の頭の中で作り上げる工夫も大切であるということをお話ししよう。

 一つの方法として、友人とパッティングコンテストをしてみる。その場合、「このパットが全米オープンの優勝をかけたものである」かのようにイメージするのである。そしてその想像も、でき得る限りリアルなものでなければならない。18番ホールのグリーン上で、残りの2メートルを決めれば全米オープンに優勝する姿を、完全に自分のものとして、身ぶりをするほどにイメージする。このパットが、今がすベてだという気持ちで、リアルにできるだけその状態を再現するのだ。

 リアルになればなるほど練習になる。また、実際に試合に出場するのもいい方法である。試合に出ることによってプレッシャー下でのプレーができるからだ。しかも、上位になればなるほど、優勝に絡めば絡むほど、どんな小さな試合でもプレッシャーがかかってくるからだ。プレッシャーを克服するのに、試合で戦うことを避けてはいけないのだ。

 ある人は、ナーバスになることがよい場合もある。しかし、プレッシャーにおどおどしたり、打ちのめされることはよくない。プレッシャーに打ちのめされるということは、パターのときにナーバスになり、手が震え、その震えている自分に意識を向けてしまうことである。プレッシャーの剋侵にはまず、手が震えている事実を受け止め、それを認めることから始めなければならない。そして、その状態を認識したうえで、自分のマインド(意識)をターゲットに向けるのだ。

 プレッシャーに打ちのめされる代わりに、「優勝をかけたこのパットは、だれでもプレッシャーからドキドキし、足がガタガタ震え、手がブルブルとするのは当たり前」と受け止め、それでも目とマインドをターゲットに向けることができることを確認する。そうすると、ナーバスな状態で手が震えていたとしてもパットを決めることができるようになるのだ。

 しかし、もし震えていることにスケアー(おびえる)になれば、あるいは「震えるべきではない」と思ってしまえば、プレッシャーに打ちのめされてしまい、手が震えたことを責めてしまう。手が震えること自体は悪いことではないにもかかわらず。

 プレッシャーを克服しようとするときに、このことを知っておくことは非常に重要なことである。