第13回:ゴルフプレーはアートである

イングは練習場でトレーニングし、コースではそれをトラスト(信頼)する。コースでは気持ちはターゲット(目標)に向け、目と心で集中する。スイングは考えてはダメだ。そのために練習場で練習してきたのだから。

コースでは、どのように体を動かしてスイングしようかと考えるようなことに対してエネルギーを使わず、ボールをホールに入れることに集中する。どのようにスイングしようなどというつまらないことに気をとらわれてはいけないのだ。

スイングを考えながらプレーすることは、ちょうど赤ちゃんが毛布にくるまって、指をくわえているようなものである。心地よいのだ。スイングを考えていれば、安全で落ち着いていられるのだ。しかし、それでは進歩はない。

ゴルファーは自分を信頼することを学ばなければならない。これは何もプロの話などではなく、ハンディ36のアマチュアについてもいえることなのだ。

雑誌にいろいろ書いてあるプロのレッスンや、スイングについてのコメントなどは、コースでは考えてはいけない。そのようなことは練習場で行うことなのである。

例えばあなたがこの雑誌を読んでいるとき、ぺ一ジをめくるのに、どのように手を動かしているかなどは考えていないだろう。話をするときに口をどのように動かすかなどは、あまり考えないはずである。野球でボールを打つときに、スイングを考えるか?ボールを見て、打つだけだ。

ゴルフプレーはアート(芸術)である。ゴルフスイングを科学的に分析することは可能であるが、ひとたびプレーが始まれば、それは芸術となる。そのプレーのレベルが高くなればなるほど、芸術性も高まる。

これはちょうど、ピアノやバイオリンなどの演奏と同じである。ある時点でオートマチック(自動運転)に切り替えなければならない。流れるような滑らかさが必要なのだ。リズム、フロー(流れ)がなく、オートマチックパイロットに切り替えることができなければ、すばらしいミュージックは演奏できない。正しい音は出るかもしれないが、すばらしい芸術にはならない。

ゴルフも同じことである。メカニカル(機械的)に考えては、リズムとフローを生み出すことはできない。どのようにスイングするかばかりを考えていると、動きが自然とぎこちなくなる。スイングは、“ただ、やるだけ”ものなのである。