第5回:あなたのマインドはゴルフボールよりも大きいか?

いていの人は、練習しているときにほかのことを考え、練習が終わって、家に帰ってベッドの中で自分のスイングを考える。そしてショートパットを外してしまう心配や、恐れを持つものだ。OBを出したり、シャンクが出たり、トップしたり、80を叩いてしまう心配をしたり、悪いプレーをする心配をしたりする。鏡の前では、必ず自分のスイングをチェックせざるを得ない。そして心配しすぎると、自信を簡単に失ってしまう。

 したがって、プレーヤーはプレー後の練習場では、何に集中して行うかを明確にしてからしっかり練習し、練習場を離れるときには、ゴルフゲームのすべてを忘れてしまわなければならない。そして、家に帰って家族と子供と過ごしたり、仕事をしたり、その他のことを行えばいいのだ。

 トム・カイトは、スイングを直すところがあれば練習場で集中して矯正し、練習場から離れるときは、ゴルフのことはすっかり忘れてしまっている。夜がきたら、子供のようにすやすやとすぐに眠ることができる。もっとも、日中の練習で疲れてしまっているからなのだが……。

 私はプレーヤーには、家で3時間悪かったプレーのことを心配するよりも、3時間ゴルフのことは忘れてほしい。ゴルフゲームにはある程度のコンポージャー(冷静さ)が必要なのだ。あまりに情熱的になりすぎると、かえってダメになる場合が多いのだ。

 「あなたにとってマインド(精神)はゴルフボールより大きいのか、ゴルフボールがマインドよりも大きいのか?」

 私は皆さんにただしてみたい。
 答えは、いつでもマインドがゴルフボールより大きく、ゴルフゲームよりも大きくなければならないのだ。ボールとマインド のどちらがゴルフゲームを支配しなければならないかを考えれば、それは簡単なことだろう。

 ゴルファーは忘れ上手にならなければならない。悪いことを忘れる能力が問われるのだ。学校においては、覚えることの重要性が教えられてきた。今まで犯した失敗を忘れず、将来同じ過ちを繰り返さないようにと。しかし、ゴルフでは、よいショットを記憶にとどめ、悪いショットを早く忘れてしまうことが要求される。

 もっともこれは個人の自由な選択でいい。悪いショットを記憶にとどめるか、どちらサイドで自分が生きていくかの選択はプレーヤー自身にある。

 私が見たところでは、多くのプレーヤーはミスショットに大きなエモーション(感情)を抱く。そして忘れにくくしている。