女子プロスイング比較

アニカ・ソレンスタムのスイング

 

アニカのゴルフスイングの特徴は、シンプルの一言。

スイングリズムは、スッとあげて、そのまま降ろす。

力感がなく、それでいて飛んでいる。

インパクトでの力みがなく、最後まで振りぬいている。

アドレスでの両腕とクラブが「Y」字の形になっているのから、

インパクトでボールを叩くイメージが無いのがわかる。

ルックアップ打法で有名なアニカの真骨頂であろう。

 

 

ポーラ・クリーマーのスイング

 

ピンクを身に付けることからピンク・パンサーの異名を取るポーラ・クリーマー。

2005年、「サイベース・クラッシック」で189ヶ月の最年少記録で優勝を飾る。

デビューのその年には、日本での2勝を含み4勝をあげて、賞金獲得2位となる。

クリーマーの特徴は、頭の沈み込み。

インパクト時からフォローにかけて頭が下に前に動く。

フィニッシュでは頭が大きくターゲットサイドに出て行く。

一見独特なスイングに見えるが、クラブの動きは至ってシンプル。

だからこそ、結果に繋がっているのであろう。

 

 

宮里藍のスイング

ゆったりとしたスイングリズムが素晴らしい宮里藍。

小さい身体ながら大きなスイングアークを心がけている。

身体を目一杯使っている姿が現れている。

2003年8月、高校3年生の時にミヤギテレビ杯ダンロップ女子で優勝を飾った。

2004年には、年間5勝、賞金ランク2位となる。

女子プロゴルフ界のニューヒロインとして、テレビの視聴率が10%を越えるブームを引き起こした。

2006年から主戦場をUSLPGAに移し、初優勝までは時間の問題だと思われた。

しかし2007年は、5回連続予選落ちなどプロ入り後、初の大きなスランプに陥った。

最近になり一時のスランプから脱して、やっと明かりが見えてきた。

 

 

上田桃子のスイング

 

2007年に年間5勝を上げ、最年少で賞金女王に輝いた上田桃子プロ。

USLPGA競技のミズノクラッシックにも優勝し、2008年の主戦場を米ツアーとした。

豪快なスイングからの飛距離も魅力である。

広めのスタンスが特徴的なアドレスである。

基本に忠実な左腕とシャフトが一直線のいわゆる「逆K」型アドレス。

トップオブスイングでは、肩の捻転が90度以上と大変深い。

インパクトでは左腕が伸びとシャフトと一直線であるが右腕には余裕がある。

フィニッシュでは背中全体が正面から見えるほど振り抜いている。

 

 

4人の比較―アドレス編―

 

4人とも安定感のあるアドレスをしているのが分かる。

いわゆる「どっしり」した感が漂っている。

グリップの位置に注目してみよう。

日本人二人の場合は、左内太ももの前にグリップがある。

両腕とシャフトが、いわゆる「逆K」の形である。

アニカ(左上)とポーラ(右上)は、グリップの位置が幾分身体の真ん中に来ている。

いわゆる「Y」字の形のアドレスとなっている。

その分、日本人選手の方が、右肩の下がり方が大きくなっている。

スタンスの幅は、桃子(右下)が群を抜いて広いのが分かる。

 

 

4人の比較―トップオブスイングー


  4人とも上半身の捻転が、これでもか!と言うほどされている。

特に桃子(右下)は、背中の半分が見えているほどだから、すごい!

それでいて、腰の状態を見てもらいたい。

ベルトのバックル正面が確認できるほどだから、45度以内の回転である。

ポーラ(右上)の下半身は、アドレスの状態とほとんど変わらないほどである。

かつての女子プロは、バックスイングで腰を回して大きなトップオブスイングをしていたのだが、身体の捻転差でパワーを蓄積するより男性型のスイングに移行している。

フェイスの向きに注目して貰いたい。

アニカ(左上)のフェースが一番良く見えている一方、藍(左下)のフェースは空を向いているので、まったく見えていない。

すなわち、フェースの開き具合から言えば、

1.        アニカ(左上)

2.        桃子(右下)

3.        ポーラ(右上)

4.        (左下)

の順番となる。

 

 

4人の比較―インパクト編―

インパクトの形は、真似るものではない。

1万分の5秒を意識して調整できないから。

しかし、見比べて何が違うかを知るとこは大切である。

4人ともに見事にビハインザボール(頭がボールよりも後ろ)だ。

日本人二人にその傾向が強い。

右肩の下がり具合も大きくアッパーブローで打っているのが分かる。

飛ばしにこだわった打ち方であるが、ティーアップしないアイアンでは、この打ち方は出来ない。

すなわちドライバーとアイアンでスイングを変える調整が必要となる。

ポーラの左踵が地面から離れているのに注目してもらいたい。

かつてのローラ・デービス同様、全体重をボールにぶつけて行く打ち方である。

アップライトなスイングが出来る背丈があるからこそ出来る形だ。

 

 

4人の比較―フィニッシュ編―

「フィニッシュよければ全て良し」と言われる。

4人ともそれぞれに特徴があるが、共通点もある。

共通点は、

1.        右足つま先立ちで、体重が左サイドに乗り切っている

2.        背中にクラブシャフトが来るまで振りぬいている

3.        右肩がターゲットを指すまで肩が回転している

4.        グリップの位置が左肩の上まで振り切っている

5.        右肩越しに飛んでいくボールを見ている

特徴的な点は、身体全体の姿勢。

日本人二人は、いわゆる「逆C」型。

アニカは、「I」型で腰の負担が少ない。

ポーラは、頭がターゲット側に動く独特な形。