大東アイ(四方山話)

1話〜10話

大東アイ 第10話> 

潜在意識に目覚める事がゴルフゲームに大いに役立つ

−心身症に苦しんだ夏樹静子さんの話を聞いて−

ミステリー作家で有名な夏樹静子さんの話を聞く機会に恵まれた。

19931月に原因不明の腰痛に苦しめられ、座る事さえ出来ず、作家を辞めてしまうまでのとなった。

あらゆる病院に行き検査を繰り返したが異常が発見できず、カイロプラティック、鍼灸、はたまた霊媒師にもお世話になったと言う。

最終的に心療内科を訪問して心身症(心の問題で起きる体の病気)と診断されたのが95年の盛夏。

しかし夏樹さん自身「心因でこれほどの激痛が起きるとは考えられなかった」と言う。

「自分の意識の中では常に前向きで、絶えず自分を鼓舞して新しい作品に挑戦してきた。」

「自分ではどこにも発祥の心因など見出せなかった」とのこと。

しかし本人が気付かない潜在意識は、もはや疲れ切って休息を求めていた。

意識と潜在意識が乖離したあげく、潜在意識が幻のような病気を作り出してそこへ逃げ込んだ「疾病逃避」だと診断された。3ヶ月の入院中、医師からの聴取や問診、カウンセリング等を受けて12日間の「絶食療法」を受ける。

これは人間本来のホメオスターシス(恒常性)を呼び起こさせる為に、強いゆさぶりストレスを加えるため。腰痛に対する直接の手当ては一切なく、退院する事が出来たとのこと。

考えてみれば、ゴルフのイップスも全く同じ原因から来る。

先日もトップからダウンスイングに入る時に、クラブが降りて来ないゴルファーのが来られた。通常のレッスンでは、なかなか治す事が出来ないので、時間をかけてイップスになった原因等を詳しく聞きだしてみた。

「ゴルファーの心の問題」に目を向けることなく、レッスンが成り立たない事を、身を持って体験した次第だ。  

今回夏樹静子さんの話を聞き、また著作を読んで、「心療内科」的な対応がティーチングプロとして必要な事の確信が得られた。

今後も色々と勉強を重ねてゴルファーの心の問題に答えられるようになりたいものだ。

平成161023

大東アイ 第9話> 台風に、てんてこ舞い

今年は異常なまでに台風がやって来る。

1020日に大きな被害をもたらした23号で、実に日本列島に上陸した台風は、10個となった。

その度に当東香里ゴルフセンターでは、ネットを下げ台風が通り過ぎるのを待つ。

なにせ練習場のポールの高さは50メートルあり、20メートルの風が吹けば自動的にネットが降下する電動ウインチがついている。

小生が学生時代は、手動で23あるポールについているウインチを一つずつ上げ下げしたものだ。

そのため台風の次の日には、筋肉痛で腕が上がらなかったことが懐かしい。

現在は電動ボタンで、ネットの上げ下げが出来るのだが、風向きによってポールにネットが引っ掛かるために早めの対処が必要となる。

その他3階打席のテント屋根を開閉したり、打席の仕切り版等をひとまとめにしたり、スタッフにとっては何かと辛い作業が続く。

台風一過の21日には、スタッフ一同朝の5時に集合して、ネットを上げて営業準備に取り掛かった。

改めて自然にたいして人間が出来る事の果敢なさを感じた。

あとは、「照る照る坊主」を作ってもうこれ以上台風が来ない事を祈るしかない。

平成161021日

 

大東アイ 第8話> 対抗戦(菊水ゴルフセンターVS東香里ゴルフセンター)

菊水ゴルフセンターの北野友之社長、富永貴子コーチと小生と土屋ふみ代コーチがラウンドし、チーム戦で戦った。

台風接近の悪天候のなか、東広野ゴルフ倶楽部にお世話になった。

あまりの豪雨のために9ホールで切り上げた決戦は、あっけなく東香里チームの勝利となった。

そこでクラブハウスに帰り、お昼ご飯をご馳走になった。「友チャン、大変美味しいカツレツでした!」

 

その後場所を菊水ゴルフセンターに移して、スクール打席に付いているビデオアナライザーを使って練習会となった。

富永コーチの癖は、バックスイングで腕が一人歩きして動くことと、ダウンスイングで上半身が棒立ちになってしまう点。

北野社長は、ダウンスイングで右肩が下がる点(演歌歌手の五木ひろしのこぶし回しのよう)

土屋コーチは、ダウンスイングでグリップが体から離れるところ。

小生はダウンスイングでクラブシャフトが寝て入る癖。ノーマルスピードでは、美しく見えているゴルフスイングでも、コマ送りとコマ戻を使って見ると、夫々の悪い点がイヤでも明らかになってくる。

お互いが職業柄、色々と注文を付け合って修正しようとするのだが、長年のゴルフスイングの癖は、直ぐに直す事は難しい。

それでもみんなかなり良くなり次回の対戦に向けて、更なる闘志を燃やす結果となった。皆様もご自身のスイングをコマ送りで見られる事をお勧めします。

20041020

 

「大東博士
今日は、ありがとうございました。とても楽しかったです(^^)v
お会いしているときは、ついつい憎まれ口をきいてしまい、なかなかいうチャンスがなく失礼しておりますが、大東さんにはとっても感謝しているのです。
初めて、東香里でお会いしたときに、菊水をご紹介くださったおかげで今があると思っております。本当にありがとうございました。
今日、あの雨の中、デジカメで撮影してくださってすぐにパソコンで見せていただいてとてもうれしかったです。
私も、ラウンドレッスンでビデオを撮ることもありますが、あの雨の中では面倒に感じて絶対やらない自分が恥ずかしくなりました。
お客様の気持ちがすごくよくわかり、ティーチングプロとしての姿勢を勉強させていただきました。
さすが、博士になる方は違うなぁ・・・と尊敬いたしました。恋愛には発展しそうにありませんが!?
ぜひ、またゴルフご一緒してください。
富永 貴子」

 

大東アイ 第7話> 真のサービスとは、、、の気付き

 真のサービス業とは何かを気付く機会に恵まれた。

小生が朝早くファミリーレストランにいたところ、隣の若者4人の会話が耳に入っきた。

「おれ、このおばちゃんのファンなんだ。」と水を持ってきたウエートレスに向かって言っている。

「この前、喧嘩して唇を切った後に、このファミレスに来たら、このおばさんが相手をしてくれた。」

「ホットケーキセットを注文したら、わざわざ食べ安いように切り目を入れて持って来てくれた。それだけではなく、怪我した唇にしみない氷なしの水も付け加えてくれたんだ。」

小生は耳がダンボになりながら、横の若者の会話を聞いていた。

本来であれば目を逸らしてしまいそうな茶髪のお客に対して、このおばちゃんウエートレスは、一人の人間として接客していたのだ。その上、唇の怪我を見逃さずに、心憎いばかりの対応で答えた。

この時「サービス業とは何たるか」を気付かされた。

これは、ゴルフのティーチングプロでも全く同じことではないだろうか。

基本はどれだけ「一人一人のゴルファーを真摯に見ているか」。

レッスンをしていると、生徒と先生の関係として一方的な技術の伝達に成りがちだ。

しかし本来の主役はゴルファー自身。

十人十色のゴルファーに対して、各人の個人情報を把握しながら対応しているかどうか、

改めてこのファミレスでの事件に遭遇して考えさせられた。

 

大東アイ 第6話> 

ショートゲームの重要性

 今週の日曜日、秋晴れのなか「ゴルフホームドクター」の練習会を、交野カントリー倶楽部にて開催した。

テーマは、アプローチとパッティングのショートゲーム。

2グループに別れて、練習グリーンとアプローチ練習場にてスコア―を縮める要であるショートゲームの極意を伝達した。

パッテイング練習は、距離感を養う練習と、決め所のパットのカップインを高める二種類の練習。

まずは15ヤードの距離の上りと下りのラインに対して1球ずつパッティンを行う。

その後、自分の結果を歩足して実際とのギャップを認識する。

通常グリーンの大きさは直径が30から40ヤードといったところ。

真中のピンに対してグリーンに乗っただけの場合、15ヤードぐらいが残るケースが多い。

まずその15ヤードを基本距離としてその日のゴルフ場の距離感を養う事が大前提だ。

なぜならロングパットを3パットする原因のほとんどが距離が合わないから起こる。

したがって平面、上り、下りの15ヤードの距離を夫々練習する事によりそのグリーンの速さに適応する事が肝心だ。

皆様もスタート前に、ゴルフ場の練習グリーンで、15ヤードパッティングを練習する事をお勧めします。3パットが激減してスコア―がよくなること「間違いない!」。

次の練習は、「クリティカルディスタンス」。

プロでも1.8ヤードのパットのカップイン確率が50%という統計が出ている。

そこで「入れごろ、外しごろ」の距離である1.8ヤードを4方向からパッティングをする。

カップを中心に半径1.8ヤードの円を書くように、上り、下り、スライス、フックのラインからカップインの回数を競う。

目標は50%の2回以上をカップインさせること。

そこで重要なのが、カップインするときの速さ。

一つの目安は、カップに蓋をしたときに、0.5メートルオーバーするぐらいのスピードがカップインの最適速度となる(CDなどを使ってカップに蓋をする)

ギリギリのカップインの速さであれば、芝目やスパイクマーク等に影響されることがあり、反対に速過ぎればカップにけられる事となる。

1.5メートルのパットであればカップオーバー0.5メートルに止まる、2メートルの距離を打つことがカップインの確率が最大限となる。

 要らなくなったCDは、カップに蓋をする以外にも使える用途がある。

CDの真中にボールを置いた状態でパッティングをする。

自分の目がCDに反射して見えれば、目線の真下にボールがある状態でパッティングをしている事となる。

 ゴルフでは、100ヤード以内のショットが全体の65%以上を占めると言われている。

そこで練習時間の3分の2をショートゲームに費やしてみよう!

20041017

大東アイ 第5話>   

 

ミスショットよりもナイスショットを蓄積しよう!

 

 

 

 

 

 

 

  自分の毎ショットの点数を付けて行く方法を前回のコラムで紹介した。

上記がその一例である。

こんなに細かく記入をしなくても、何時ものスコア―カードにメモ程度に採点してみるのも効果的な方法だ。

しかし多くのゴルファーがスコア―カードに記入するのが、OBマーク。

そしてコンペの会食事に友人と「このOBが無ければ、、、、」と言い訳するわけだ。

それって、OBの記憶をより鮮明にすることに他ならない。

そして次回、そのホールに来た時に、前回のOBが脳裏に甦り再度OBになるか、意識過剰でミスショットになる。

本来スコア―カードに記入するべきことは、ナイスショットのところである。

そしてゴルフ場帰りの車内で一人になった時に、その日のベスト3~5ショットを甦らす作業を行うことだ。  

ジャック・ニクラウスが、あるトーナメントでシャンクを打ったことがある。

インタビューで

「あのシャンクは、どうして出たのか?」と記者に聞かれた、ニクラウスは

「あのショットは、忘れてしまった」と答えた。

決して忘れたわけではないのだが、「ミスショットを思い出す作業」をしないのである。

ミスショットを分析してナイスショットに繋げるよりも、ナイスショットの良いイメージを蓄積して再現する方が、より効率的というわけだ。

日本人は、「ミスショット分析型プレーヤー」の割合が多い。

ゴルフショットの場合、多かれ少なかれミスショットがほとんど。

ミスショットに眼を向ける事に専念してしまえば、プレー経験が多くなればなるほど、ミスショットに対する不安感が大きくなる。

それがひどくなれば、イップス等の症状となってしまう。

ミスショットが出たとしても、それに対して過敏で特別な反応をすることなく、ただ単に受け入れる事だ。

世界一のボールストライカーであるモー・ノーマンが「ボギーは自分自身の気持の中から生じる」「自分のキャディーバックの中には、パーとバーディーしかない」と以前教えてくれた事を思い出す。

いかに自分を信じてプレーをするかが重要なポイントになる。 

20041013

 

大東アイ 第4話>   自己採点方式のラウンドレッスン

交野カントリー倶楽部にお世話になり、最終スタート後のコースを、プロのラウンドレッスンに使用させてもらっている。

先週の日曜日も、松本成太プロと生島早織プロが、キャディーバックを担いで砂袋を持ってラウンドをした。

小生は、デジカメとメモ帳を手に2人に付いて散歩!ラウンドの方式はワーストボールと自己採点方式。

2球のボールを打ち両方をホールアウトする。

ハーフをラウンドするのだが、スコア―は18ホール分となる。

目標はベストボールとワーストボールの誤差を縮めること。

いくらバーディーをたくさん取れたとしても、ボギーを打ってしまえば、ワーストボールのスコア―を縮めることが出来ない。

スコア―の波が大きいプレーヤーは、この方式で自分の実力が如実に出るので「練習には持って来い」のラウンド方法だ。

 また、各ショット毎に自分の打つショットと、ショット後の自己採点を申告してもらう。

小生の仕事は、全てのショットの申告をメモして記録する事。記録すれば、後から客観的な分析が出来る。

また数値化することにより、データ化が可能となる。

例えば、松本プロの10370ヤードのティーショットはドライバーで左山すそ真っ直ぐに90点の出来栄えの約290ヤードのショットだった。

そこでスコア―カードに「@D90点↑290Y」と記入する。

残りは64ヤードをSWでピン筋に80点の出来栄えのショットでグリーンをオーバーしてしまった。

距離が思った以上に飛びすぎたので補足してみると、なんと81ヤードも飛んでいた。

「A64YSW80点↑81Y」となる。

第三打目の14ヤードのアプローチは、AW30センチに付けた90点の出来栄えのショット。

「B14YAW90点↑13.7Y」最後はタップインのパーとなる。

「C.3P−」。ここでの問題は、松本プロが64ヤードと思って打ったアプローチショットが81ヤード飛んでしまった事だ。

本人としては80点と高得点の納得のショットなのだが、実際は17ヤードも飛びすぎていたのだから、ショットとしては落第点になるはず。

距離感が大きく狂っていたのだ。

9ホールを同様に記入すれば、各番手別の飛距離もキッチリと出る。

また自分の得意不得意なショットもデータ化することが出来る。

皆様も一度試してみて、自分のショットを客観的に分析する事をお勧めする。

 20041011日 於:交野カントリー倶楽部

大東アイ 第3話>    

  ギャラリーには最高のチャレンジトーナメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  トーナメント観戦するにはチャレンジカップが最高である。

何せロープがないのでプロのショットを間近で見ることが出来る。

チャレンジカップとは、プロ野球で言えば2軍の試合。

1軍へ上がるべく明日のスターを夢見て鎬を削って戦っている姿は、野球もゴルフも同じところ。日本ツアー機構の主催で上記の表のように今年は10試合が開催されている。

そのチャレンジカップが107、8日に北六甲カントリー倶楽部東コースで行われた。

レギュラーツアーを目指して135人が戦った。ギャラリーがほとんどいない状態ではあるが、コースの状態は最高。グリーンの速さを示すスティンプメーターは11フィート。

これは一般のツアーでも早い部類に入る。

2日目は生憎の豪雨であったが、「ゴルフホームドクター」会員の松本成太プロのサポートとして、ゴルフシティーの太田栄造社長と伴にコースに入った。

台風の影響で昨日から降りしきる雨で、普通であれば中止になってもおかしくない天候だが、コースの水はけが良く、プレーに支障がない。

特にグリーンはもともとコウライ芝を第3世代ベント芝の種を撒き、成功した数少ない例。

もともとコウライグリーンでは珍しい土壌がサンドであったことから、水はけが良い、11フィートの速さの最高の状態に仕上がった。

雨模様とはいえ、ギャラリーが少ないのはモッタイナイ。

通常のツアーと違ってロープが無いので、プレーヤーと一緒にコースを歩きながらトーナメントを満喫できるのだ。

ちょうどアメリカのミニツアーのようなもの。

フロリダ州のオーランド周辺で開催されていたミニツアーには、家族や友人を中心にギャラリーも観戦に来ていた事を思い出す。

アットホームであって同時にみんなでトーナメントを盛り上げようとしている雰囲気があった。

PGAツアーと違って選手とギャラリーの敷居が無く、自然と交流している姿があった。

日本のチャレンジトーナメントでも可能なはずだ。

協会等がギャラリーにフレンドリーである事をもう少しPRする事で、大きく変われるのではないだろうか。

2004108日 於:北六甲カントリー倶楽部東コース

 

 

 大東アイ 第2話>

躍進する女子プロゴルフ界

最近の女子プロトーナメントは見ていて面白い。

それは宮里藍効果だけによるものではないだろう。

宮里プロの同期である北田瑠衣と茂木宏美が2勝ずつを上げたのに加えての馬場ゆかりプロの初優勝。

更には、今年プロ入りしたばかりの横峰さくらが3試合の出場で一千万円の獲得賞金を上げてシード入りを確定させた。中学生の宮里美香や諸味里しのぶ選手達のアマチュアの活躍も頼もしい。

また斎藤裕子、川崎充津子、山岸陽子と30代の初優勝の出現も珍しい。

永久シードを果たし今年既に6勝を挙げている不動裕理の強さも際立っている。

なんたってギャラリーの数が倍増して視聴率もアップしトーナメントが華やかである。

このような輝かしいツアーだけではなく、日本女子プロゴルフ協会では、ピア・ニールソンとリン・マリオットの講習会を先週開催した。

これはティーチング部門の勉強会として行われたものだ。

アニカ・ソレンスタムを始め、スエーデンをゴルフ大国にした第一人者と言っても過言でない彼女から学ぼうと、定員50人を超える女子プロが熱心に参加した。

もともとピアの来日スケジュールを小生が女子プロ協会の担当者に知らせて、今回の講習会が実現の運びとなったのだ。

その間約2ヶ月、スケジューリングや場所の調整、会員への告知や募集作業等、女子プロゴルフ協会の俊敏で身軽な動きには敬服する。

良いものを貪欲に吸収しようとする会員の姿とそれを支える協会のサポートを見ていると現在のトーナメント部門での隆盛も偶然の産物でないことが分かる。

今では女子に逆転され元気のない男子のトーナメント部門の日本ゴルフツアー機構と、ティーチング部門が中心の日本プロゴルフ協会の再起を期待するとことである(小生も一会員として尽力しなければならない立場であるのだが、、、)

2004106()

 

 大東アイ 第1話>    進化し続ける不動プロ

今年の日本女子オープンゴルフ最終日、練習場での不動プロのスイングを見て驚いた。

小生は、村田理恵プロのサポートをしに来て、彼女のショットを練習場で見守っていたのだが、隣で練習を始めた不動プロのショットが気になる。

そこで目にしたのは、あのアニカ・ソレンスタムの「ルックアップスイング」だ。不動プロにしては、今までにはない新しい試みである。

アニカ・ソレンスタムのティーチングプロであるピア・ニールソンから聞いたことがあった。

アニカのアプローチ距離感が上手くいかない時、目標意識を鮮明に持つ為に「ルックアップスイング」を提案したのだと。キャッチボールをする時の目線を考えてみよう。

当然目線は、目標に向いている。

目線のあるところに、意識があることによって自動的に腕を振りかぶってボールを投げる動作が行える。

ゴルフの場合は目標に目線を向けることが出来ず、地面のボールを見ながらショットをしなければならない。

人間は本来、目線のある所に意識が来るようになっていて、地面のボールを見ている為に本来の目標に対して意識を鮮明に持つことが難しい。

そこでピア・ニールソンがアドバイスしたのは、ダウンスイングを始めると同時に目線を目標に移しながらスイングをすることにより、目標意識を鮮明に取り戻すことだったのだ。

このようにしてアニカ・ソレンスタムの「ルックアップスイング」が作られてきた。

世界のナンバーワンのアニカをやってきたことを知ってか知らずか、日本のナンバーワンの不動が同じように進化しているのである。

ちょうど前日にイチローが進化し続けることにより、大リーグで大記録を打ちたてたように。

その不動プロの「ルックアップスイング」を目の当たりにして、彼女の絶え間ない探究心の旺盛さに驚かされると同時に、鳥肌が立つ思いであった。

結果は、最終日67、トータル8アンダーで2位に11打差の大差を付けてダントツ優勝。

まるで不動プロだけ簡単なコースをプレーしているような、別世界の強さであった。

現状に満足せずに、進化し続ける姿に女王の偉大さを改めて感じた。 

200410月3日() 

於:広島カンツリー倶楽部八本松コース