「タイガー・ウッズのティーチングプロ、ブッチ・ハーモンはじめピーター・コスティス、デビット・レッドベターなどプロを教えるプロや心理学の権威であるボブ・ルーテロ博士など、ツアープロをサポートするあらゆる分野の専門家と親交のあるJPGAインストラクターの大東将啓プロ(東香里ゴルフセンター)。
USPGAティーチング&コーチングサミットなどで、彼らとの長年の親交から学びとったゴルフのエキス。 それらを技術偏重ではなく広範囲な視点から語ってもらった。 考え方、レッスンの受け方、技術書の読み方。 なるほどと納得するものがあるはずだ。 目から鱗が落ちて、新たな進歩が期待できる。」
POINT14
飛ばしたければ普段からクラブに馴染み、握り加減による不安をなくすことだ
繰り返し繰り返しての素振りは、雑念も取り除けて、自分に最適のスイングとリズム感をもたらしてくれる。 さらに自然のうちに体が覚え、実際にボールを打つときに役立ってくれる。 実際にボールを打つ練習はややもすれば、ボールを正確に目標地点に飛ばすという最終目的を忘れがちになる。 ボールを打つという意識が強くなって、ボールが目標になりやすい。 その点、素振りはボールを意識しなくてすむ。 最後までクラブを振り抜くことだけを頭において、存分に振ってやればよい。 繰り返し繰り返し振っているうちに、自然に自分に適した最良のスイングができるようになる。 しかもそのスイングは、頭で覚えたものではなく体が覚えたものだけに、緊張の強いられる場面に遭遇しても体が自然に動いてくれることになる。
繰り返し繰り返しての素振り。 これは寸暇を惜しんでということになるが、まずはクラブに馴染むことからスタートしてほしい。 日本人が箸を器用に扱うのは、箸というものに慣れているからだ。 箸を持つことに慣れれば、教えられなくても握り加減は手の感覚がやってくれる。 逆らって強く握れば、先っぽでの繊細な動きができなくなって物はうまく掴めない。 これと同じことがクラブにも言えるのだ。 上手な人はクラブを握る機会も多くなってくる。 多くなれば意識しなくても、体の感覚がすべてを教えてくれるようになる。 プロが一瞬のスイングを失敗したと感じたときでも、無意識のうちにクラブヘッドを返していたりすることがよくある。 日本人のお箸と同じで、自由にクラブを扱えるようになってくると、意識よりも体の感覚が修正してくれるのだ。
潤滑油の効いた蝶番。 それが柔らかい握りのグリップなのだ
「クラブはできるだけ柔らかく握りなさい」とは、よくいわれるアドバイスだ。 だからといって、週に一回もクラブを握らない、触れない人にそんなことを言ってもできるものではない。 ほとんどの人がそうだが、しばらくクラブに触れていないと多かれ少なかれ不安を抱くものだ。 不安がでるとどうしても強く握ろうとする。 これが普通の感覚を持った人の体の動きに違いない。 クラブを強く握ると、ヘッドは素早く走ってくれない。 インパクトでのヘッドの向きも変わりやすくなる。 結果、ボールは飛ばないし方向までも安定しないことになる。 握りを柔らかくするための究極の方法。 それは普段からクラブに馴染んで、クラブを握ることに対する不安を取り除くことに尽きる。 暇を見つけては、クラブに親しみを持って手にすることだ。 ボールを打ちながら握り加減を修得しようとすると時間も掛かる。 それ以上に変な癖もつきやすい。 しかし、ボールを打たずにクラブを自由に扱おうとすると、癖もつかずに自分に適した握り加減で、扱いができるようになる。 握る形にしても、最初からインターロッキングだとかオーバーラッピングというのではなく、自分がいろんな握り方を試すことだ。 その中からピタッとくるフィーリングのものを探り出す。
グリッププレッシャーが柔らかくなると、まず手首が柔らかく自由に使えるようになる。 手首が使えるようになると、意識しなくてもコックができるようになる。 コックが使えるとヘッドスピードは確実に増す。 手首(握り)とはクラブと体をつなぐジョイント部分。 このグリップが柔らかく使えるということは、潤滑油の利いた蝶番のようなものでクラブはスムーズに動く。 そして間違いなく飛距離は伸びるようになってくるものだ。
まず両肘を折って抜重状態で自然に持つ。 そのままクラブを立ててやるとグリップにもそれほど力が入っていないことが実感できる。 |
クラブを立てたまま、グリップを右に10回、左に10回。 最初は小さく、徐々に大きくぐるぐると回してみよう。 やってみると分かるが、かなりの運動量を伴うものだ。 ひいてはこれがクラブを握るのに必要な腕力の強化につながり、適度の力加減でクラブを握る要領も会得できる。 |
クラブに馴染むには場所や時間は必要ない。 いつでもどこでも寸暇を惜しんでクラブと戯れる。 それが不安の解消に役立つのだ。 |