POINT4
アドレス篇A
クラブは左右両手とも、鷲掴みで握る
グリップは右手の平、左手甲ともに左上方45度を指すようにする
右手のグリップは、生命線に沿って握るのが基本 両手を重ねないで握り、利き腕を生かす
ハンマー打法最大の特徴は、クラブを手で上げて下ろすだけというシンプルな打法であることだ。シンプルなるがゆえに、短期間でマスターしやすく、一度覚え込めば、スイングによってスランプに陥るということもなくなる。しかも、上げて下ろすだけという最少の動きながら、最大のパワーを生み出すのだ。
その原動力のひとつが、クラブの握り方、グリップにある。グリップは、左手をかぶせて右手を開く、今までのスイング理論でいうところのフックグリップだ。だが根本的に違うところは、両手を重ねて握るバードングリップではないというところにある。両手を重ねない握り方というと、利き腕が効き過ぎてボールは曲がりやすくなるのではないかという疑問をもつ人は多い。
ハンマー打法では、利き腕は最大限効かすというのが、スイングのひとつの要になっている。それが自然な動きであって、パワーや方向性はそこから生まれるというわけだ。これまでのスイング理論は、むしろ強い利き腕を制御して、左右の腕が同じ力になるようにというのが、その教えであった。自然の動きを抑えようというのだから、無理が生じて当たり前である。左手はすっぽ抜けない程度、右手はさらに柔らかく握る
それではここで、両手の役割分担を見てみよう。右利きの人を例に取ると、左手の役割とは、クラブを固定するところにある。だからといって強く握るものではない。クラブがすっぽ抜けない程度の強さの握り加減で十分だ。あくまでもクラブを支えるだけのものだから、決して強くは握らないことだ。
一方、右手は利き腕だけに、パワーの源となる。だから最大限のパワーが発揮できるように柔らかく握ってやること。強く握ってしまうと、腕の動きがシャフトを通してヘッドに伝わらなくなってしまう。ヘッドが走ろうとする自然の動きをグリップが止めてしまうことになるからだ。
これまでの指導法では左腕の重要性が、主に説かれてきた。ハンマー打法では左手は従にすぎない。あくまでも利き腕である右手が主であって、右腕のサポート役が左腕なのだ。何度も言うが、利き腕は最大限生かしてこそ、価値が出てくるものなのだ。そして利き腕を抑えることは、自然の理に反することでもある。左右の手の平が、左上方45度を指すように握る。
それでは具体的に、その握り方を見て行こう。まず右手だ。右手はクラブを手の平で握る。これが基本となる。クラブをあてがう部分は生命線に沿ってということになる。この部分には神経がもっとも集中していて、クラブを握る部分としてはこれほど適したところはない。握る際のコツは、クラブを生命線にぴったりと密着させるようにして、手の中でクラブが遊ばないようにしてやることだ。こうすることによって、手の中でもっとも敏感な部分が使えるようになる。
だからといって、厳密に生命線にこだわる必要はない。クラブを右手で鷲掴みに握ってやれば、自然に生命線に沿って握られることになる。そして右手のリストが最大限のパワーを発揮できるように、手の平が左上方約45度を指すように握ってやれば完璧だ。
左手も右手と同様に、鷲掴みでよい。これまでの左手の握り方は、親指を伸ばしてクラブの上にあてがうようにと教わった。ハンマー打法では、親指はあてがわずに、クラブに回して握るというのが基本になっている。それは親指というのは、インパクト後にクラブヘッドを解放させるうえで、邪魔な存在でしかないという考え方のためだ。とくに親指の関節が硬いゴルファーが親指を伸ばして握ると、ダウンスイング以降で指が後ろに返らないために、親指に力が入ってスイング平面を壊してしまいやすいからだ。だが、親指をクラブにあてがうかクラブに回すように握るかはそれほどおおきな問題ではない。自分が振りやすいと感じる握り方で十分。
それよりも大切なことは、右手によって描かれるスイングプレーンを、左手の動きによって崩さないことだ。そのために左手は、手の平が右の手の平と向かい合うように握ってやること。つまり、右の手の平は左上方45度を指していたのだから、左手の甲も同じように左上方45度を指すようにしてやればいい。
左右のグリップとも、鷲掴みすると握りやすい 左手の親指はクラブに回してもよいし、あてがってもよい 指を重ねたオーバーラッピングと、10本の指で握るハンマーグリップ
インパクト時のグリップは、アドレス時と同じ形でないといけない