POINT14

リストを理想的に使う要領は、インパクトで利き腕を伸ばすことだ。

スイング スイング
モー・ノーマンのダウンスイングでのリストのリリース(屈曲)は、リストをほどくという意識ではなく、インパクトで右腕を伸ばす、その一点にある。

ヘッドスピードを生み出すパワーは、利き腕が全体の94%を占める

 ナチュラルスイング・ハンマー打法の最大の特徴は、右手(利き腕)のハンマーグリップを主体として、右手のリストを活かしたスイングにある。

 これまで教えられてきたことは、脚や腰といった大きな筋肉を有効に利用し使うことが、ゴルフのスイングにとって欠かせないといったものだった。ところがゴルフスイングを科学的に分析したアメリカの物理学者、ジャック・カーケンダルは、それらの大きな筋肉はそれほど重要ではないと言い切る。

 体の動いた距離をダウンスイングにかかる時間で割ったものが、ヘッドスピードを生むための貢献度とすると、体の動き(大きな筋肉)によって生まれるヘッドスピードは、全体のせいぜい6%でしかないというのだ。そして、脚や腰といった大きな筋肉は単なるサポートのためのものだとさえいう。

 それでは残りの大半を占めるパワーは、どこから生み出されるものなのだろう。

 彼は、右手の前腕の動き、つまりリストであって、全体の76%を占めると分析する。しかも残りの18%も、右手の肘と脇の下の間にある筋肉、上腕三頭筋の動きがヘッドスピードに関係しているという。右腕の動きだけで、実に飛ばしたいためのパワーの94%が生み出されることになるわけだ。

 だから飛ばすためには、右手のリストの動きが重要だというのだ。しかも利き腕が活かせるということは、体が要求する本来の動きであって、そこには無理が入ってこない。だから利き腕を思い切り使うことこそ、その人の最大限のパワーが発揮できるのだ。

 ハンマー打法の具現者、モー・ノーマンのスイングこそ、まさに無理のない理想的なスイングなのだ。そして彼のように右手を最大限活かし、左手をサポートとして舵取りに終始させれば飛んで曲がらない、理想的なスイングができるようになるのだ。

クラブを握る力加減は、ハンマーを打ち付けるときのハンマーの握り加減が最良

 全体の76%を占める右手のリスト。このリストを使おうとすれば、当然、バックスイングで手首を折って、ダウンスイングでそのコックをほどくという作業が必要になる。これについては、前回詳しく説明したので付加的な説明に止めるが、要するにいくら体を速く回転させたところで、リストを使わなければボールは飛ばないということなのだ。

 思い切りクラブを振っているのに、200ヤードも飛ばないという人は、腕が振れずにリストも使えていないからに過ぎない。体を回転させなくても、リストを使ってクラブを振ればボールは飛ぶ。だれだって理解できるはずのことだ。この簡単な飛ばしの原理が、実際のスイングでは活かされていないから、飛ばないという結果しかでてこないのだ。

 さて、右腕の動きが飛ばすために、どれだけの貢献をしてくれるかが理解できたところで、コックについての付加的な説明をしよう。その前にスイングはシンプルでないといけないというのが、ハンマー打法の原則でもある。だからコックを難しく考えないでいただきたい。

 ハンマーを手にしたとき、右手のグリップは力一杯握らないのが自然だ。これと同じことが、クラブを握るときでも言える。ハンマーを握るときの力加減でクラブを握る。これが握り加減の要領だ。この握り加減で、クラブを上げると自然にヘッドの重みで右の手首は甲側が折れてくる。またバックスイングで、意識的にコッキングをしても、結果的には自然にできたコックとそれほど大差はない。ただ問題は、コックをほどくダウンスイングにある。

 コックで飛ばすと言われたために、初心者などはどうしても右手首の屈曲(リリース)を意識し過ぎるのだ。このためにダウンスイングの取っ掛かりから、リストを戻そうとしてその屈曲を速めてしまう。結果は、折角のヘッドスピードも落ちてしまうことになるのだ。そこでモー・ノーマンのリリースを参考にする。

 彼のリリースは、そのものを意識するのではなく、インパクトで右腕を伸ばす、ただその一点にある。これこそ理想的なリリースで、しかも最もシンプルなものだ。ダウンスイングでは、クラブを軽く握ったまま、インパクトで腕を伸ばす。これがリストを使うための要領なのだ。

スイング連続
ハンマーでクギを打ちすえようとすれば、ハンマーは強く握らないし、腕も伸びてくるのが自然の動作だ。ゴルフスイングのインパクトもこれと同じことが言える。

 

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