POINT12

ヘッドスピードは、体の回転やねじれによって生まれるものではない

両足をベタ足にすることによって上体の力みが抜け、手が使える。

スイング スイング
ハンマー打法は、体の中心をスライドさせることによってボールを打つ。具現者モー・ノーマンの両足も、惰性で作られるフィニッシュ以外は両足ともベタ足だ。

スイングの安定は下半身にある

 ヘッドスピードは体の回転やねじれによって生まれるものではない。利き腕を振り、最大限働かせることによってヘッドスピードを上げるのだ。そのためにバックスイングは、体をまわす回転動作ではなく、体重を右へ直線的に移動させる平行移動だと言ってきた。さらにトップでの手の位置は、これまでに実行してきたハイ・トップではなく、右肩までの低いもので十分だとも言ってきた。そしてそれらを可能にするのが、安定した下半身にある。ということで、今回はハンマー打法の根幹をなす部分のひとつでもある、下半身を見ていこう。

 スタンスの幅については述べたが、基本的な考え方は、クラブを思い切り振っても、またいくら体重移動しても下半身がぐらつかない広さであるということ。したがって、あまり狭いスタンスだと、体重移動によるスイングそのものが支えられないことになる。つまり土台そのものが不安定になるきらいがでてくる。

 そこで両腰骨の幅よりも両足内側の幅が広いほうがよいだろうと一つの目安を提示している。しかしこれも、それ以上狭くすると土台が作りづらくなるのではという配慮であって、必ずしもその幅が正しいというのではない。ただスタンスの幅が狭いと、インパクトでは腰が開きやすくなって、体の正面でボールを捕らえにくくなるということを知っておいてほしい。スタンスの幅も個人差があって、必ずしも広くしなければならないというものではない。いろいろ試してみて、自分に適した幅を見つけることだ。

下半身は左右へのスライド的な動きをするもの

 これまでに何度となく、「下半身を固定して」という表現を使ってきた。しかしこの場合の固定するという概念は、回転させないという意味の固定であると考えてほしい。だから下半身を全く動かさないというのではなく、従来のスイングのような回転を伴った動きではないということなのだ。

 下半身、特に両膝の動きというのは、体重を左右へ移動させるために必要なスライド的な動きをすることになる。バックスイングでは体の中心が右に動き、それに伴って両膝も右へスライドする。ダウンスイング以降は左へ動く。この左右への直線的な動きが回転運動にブレーキをかけ、下半身を固定すると考えてほしいのだ。

 ハンマー打法でいうところのインパクトは、あくまでも肩の線、腰の線、両膝の線が平行でなければならない。だからこそ、フェース面も飛球線に対して直角に入ってくる。そしてボールに、左右の回転を与えることなくまっすぐに飛んでくれるのだ。これを可能にするのが体重移動を伴った下半身の直線的なスライドにある。従来のように肩とか腰をまわしてという、回転動作を考えると、フェースはスクエアーに入りにくくなってくる。そして回転動作という普段あまり使わない動きのために、スイングそのものが難しくなってくるのだ。

ヒールアップ、ヒールダウンは存在しない

 ハンマー打法は、何度も言うが体の回転でボールを打つというのではない。体の中心を横に移動させることによってボールを打つのだ。だからスイング中、両足はベタ足でなければならない。バックスイングで左足をヒールアップさせたり、ダウンスイングからインパクトにかけて、右足をヒールアップさせるなどということは、絶対にしてはならない。

 なぜこのように断言するのかというと、ヒールアップという動作そのものが、体を十分に回転させるために必要な動作なのだ。しかもバックスイングでヒールアップすれば、ダウンスイングでは元に戻す必要がある。戻すということは、スイングという過程の中に、一行程を加えることになる。しかもそれなりのタイミングも必要になってくる。それだけスイングそのものが複雑になってくるのだ。スイングはあくまでもシンプルでないと、難しいものになってしまう。

 さらにヒールアップさせることによって、下半身が不安定になりやすい。それをカバーしようとして、今度は状態に力が入りやすくなってしまう。土台をしっかりさせて、下半身の動きを抑えておくほうが、上体の力、力みは入りにくいし、抜けやすいものだ。そしてハンマー打法の極意である、思い切り手を使ってクラブを振ることができるのだ。ヒールアップしない以上ダウンスイングでのヒールダウンも存在しないのだ。

スイング
バックスイングでの右膝は、足と膝が地面と垂直になるくらいまで移動させる。これ以上膝が右に出ると、スエーになるので要注意だ。全体重を右足に乗せ、それを右足で支えるくらいの感覚がちょうどよい。

 

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